Hokkaido Centennial Memorial Tower Fun
 

令和2年第1回定例会(予算特別委員会第1分科会) 令和2年3月17日

 自民党・道民会議 星 克明議員

 

百年記念塔の果たす役割はまだ失われていない

 

27校の校歌や校章に─住民の心に根ざした施設

 
【星克明委員】次に、ほっかいどう歴史・文化・自然「体感」交流空間構想についてであります。昭和40年代に、北海道100年記念事業の一環として公園指定されました道立自然公園野幌森林公園に所在する北海道博物館、北海道開拓の村、北海道百年記念塔などは、開設から約50年が経過し、施設の老朽化や利用者数の減少などのさまざまな課題に対応するために、これらの施設と自然豊かな周辺地域を含めたエリア全体を、歴史、文化、自然を体感できる空間としての再生を目指して、平成30年12月に、
ほっかいどう歴史・文化・自然「体感」交流空間構想が策定されたと承知をしております。
 
構想では、施設の老朽化、利用者数の減少という共通の課題がある中で、北海道百年記念塔について、今後の方向性として、施設の解体もやむなしと判断をされ、具体的な取り組みにおいては、解体するための実施設計、解体工事の実施と方向づけをされております。
 
北海道百年記念塔は、北海道100年の記念として、開拓に尽くした人々に対して感謝の誠をささげるとともに、将来に向かってたくましく北海道の発展を誓う記念塔を道民の総意を込めて建設されたものであり、建設費用の一部は道民からの寄附でありました。
 
私の地元・江別市では、カントリーサインにも描かれ、周辺地域27の学校では、校章や校歌に、また、近隣施設では、その名称に記念塔が使われるなど、地域住民の心に根差した施設となっております。
 
北海道を代表する記念施設の今後の方向性、具体的な取り組みについて、以下、数点お伺いをいたします。
 

■平成29年調査の内容は?

 
平成29年度北海道百年記念塔維持管理計画策定報告書についてですけれども、この時点での点検の点検箇所、及び、点検はどのような方法を用いて行われたのか、まずお伺いいたします。
 
【委員長】文化振興課長所健一郎君。
 
【所文化振興課長】平成29年度の維持管理計画策定業務における点検方法についてでございますが、平成29年度の調査では、地上の鉄骨づくり部分の全体を対象に、内部と外部から調査を行っており、具体的には、塔内部の点検口や、ドローンを利用し、構造体や外皮鋼板などを目視により確認したところでございます。
 
また、調査に当たりましては、平成23年と26年に実施をした管理計画策定調査の結果を委託事業者に貸与しており、報告書の取りまとめに当たりましては、過去の知見も活用されたところでございます。
 

■調査報告と解体方針は矛盾しないのか?

 
【星克明委員】本報告書によりますと、主要鉄骨部については、これまでの損耗箇所の補強、補修の実施により、全体的には最低限必要な状態を維持継続している状況と評価されております。
 
外板部については、これまで損耗箇所の補修、補強などを継続的に行っており、今後も経年とともに損耗箇所が広がる可能性があるため、継続的な点検実施を指摘されております。
 
また、内部排水部については、過去に、最下階を土間コンクリートにしたことから、塔内の高湿度が改善され、鋼材に対しても腐食進行の防止策となっていると評価をされております。
 
以上は、記念塔の主要な構造部の評価を抜粋させていただいたものでありますが、継続的な維持管理が安全性の確保につなげられるものではないかと理解をいたします。
 
道は、記念塔の安全性の確保ができないことを解体根拠の一つとされておりますが、この報告書と矛盾はないのかということをお伺いさせていただきます。
 
【所文化振興課長】報告書の内容についてでございますが、報告書では、主体鉄骨部は最低限必要な状態を維持継続しているとされた一方、塔体は、常に苛酷な環境下にあるため、経年とともに、2次部材の腐食、溶接の破断、さび片、さび粉等のふぐあいが進行すること、不測の落下事故を完全に防ぐことは不可能に近く、その対策が不可欠である旨、報告されているところでございます。
 
また、交流空間構想策定に向けて実施した有識者ヒアリングでは、本報告書の内容も踏まえた上で、老朽化が進んでおり、安全性が懸念されるとの意見に加え、インフラの大更新期が迫り、将来世代の負担で維持すべきものにはならないとの御意見もいただいたところでございます。
 
道といたしましては、このような意見のほか、庁内での検討や議会議論なども踏まえまして、百年記念塔は、公園利用者の安全確保や将来世代の負担軽減から、解体もやむを得ないと判断し、その跡地には、新たなモニュメントを設置することとした構想を平成30年に策定したところでございます。
 

■部材落下は通常点検で未然に防げたのでは?

 
【星克明委員】平成30年9月に発見されました、重量約9キログラムの塔からの落下部材について、部材の固定下地の腐食と当時の台風21号による強風が原因と推定されておりますが、これは、通常の点検作業で危険性を把握し、未然に事故を避けることが可能だったのではないでしょうか。
 
また、この部材の落下事故以降に同様な事故の発生があったのか、あわせてお伺いいたします。
 
【所文化振興課長】記念塔からの部材の落下についてでございますが、百年記念塔の管理については、各部材の点検などの通常の保守管理を指定管理者が実施し、大規模な修繕が必要となった場合には道が実施することとしているところでございます。
 
平成30年9月に落下した部材については、その部材を固定している内部の下地材の腐食によりまして落下したものであり、通常の点検作業では把握が困難な状態と認識をしてございます。
 
なお、平成30年9月以降、同様の部材等の落下は発生しておりませんが、通常の管理時及び道担当者等の調査時におきまして、ボルトやさび片の落下が見られており、今後もさらに部材等が落下する可能性が懸念されているところでございます。
 
【星克明委員】平成30年の落下部材に関しては、今の御答弁では、通常の点検作業では把握が困難であったということでした。ただ、同じ目視の点検においては、単純に外観から目視ができないような場合であっても、例えば、危険だと判断すれば、内視鏡を使って内部を見るという、ちょっとした工夫をすることで事故を防げる可能性もあるわけですね。
 
今後、事故を防ぐということでは、道民の安全性を確保するのが第一ですので、事故を防ぐための点検方法の選択肢についても工夫していただきたいと指摘させていただきたいと思います。
 

■構想策定のアンケートではほぼ賛否同数だったのに

 
次に、昭和42年当時、道が道民1200人を対象に記念塔建設の世論調査を実施したとされております。このときには74%が賛成とのことでありましたが、このたびの構想策定に当たり、住民アンケート、住民や団体を中心とした道民ワークショップ、大学への出前講座、そしてパブリックコメントを実施されておりますが、その対象者数や記念塔解体に関する反応はどのような結果だったのか、お伺いいたします。
 
【所文化振興課長】記念塔解体に関します道民の反応についてでございますが、道では、構想を策定するに当たり、道民や専門家の意見を幅広く聞くため、道民ワークショップや大学への出前講座といたしまして、約120名の参加をいただいたところでございます。
 
また、住民等を対象としたアンケート調査では、約850名から回答をいただいたほか、パブリックコメントでは、17個人、3団体から計64件の貴重な御意見をいただいたところでございます。
 
このうち、百年記念塔に関する主な意見といたしましては、周辺住民のシンボルとなっており、何とか残してほしい、今後の維持管理のことを考慮すれば解体はやむを得ないなど、賛否両論の意見がございましたが、住民等を対象としたアンケート調査では、存続すべきと回答した方が33%、解体もやむを得ないとの回答が39%となったところでございます。
 
【星克明委員】今、調査結果を御答弁いただいたのですけれども、人数は今の御答弁のとおりということで、パブコメ等の意見としては賛否両論の意見があったということであります。
 
そして、存続すべき、解体もやむなしとの回答のパーセンテージについては、資料を見せていただくと、トータルの数字としてはほぼ同じですが、実際にそこを訪れた来場者への調査では、59%の方が存続というような回答ということで、やはり、塔を身近に体感した方は存続させたいという気持ちが強かったのではないかというのを、今回のデータから確認させていただいたところでございます。
 

■「未来の会」の現地調査は可能か?

 
最後ですが、記念塔の解体の根拠について疑問を持つ方が種々いらっしゃいます。その中で、北海道百年記念塔の未来を考える会は、建築設計の専門的知識を持つ方々の会なのですけれども、この方々は、疑問を解消するために
現地調査を希望されているわけなのですが、これを実施することは可能であるかということをお伺いしたいと思います。
 
【委員長】文化局長小出幸希君。
 
【小出文化局長】現地調査の実施についてでございますが、百年記念塔につきましては、建設から約50年が経過し、老朽化が進み、さび片などの落下もあることから、道といたしましては、利用者の安全性を確保するため、平成26年7月から一般利用者の立ち入りを禁止してきたところでございます。
 
こうした中、平成30年12月に構想を策定し、記念塔を解体する方針を固めたところでございますが、その一方で、記念塔を保存したいと考える方々から、署名や公開質問状が提出されていることから、今後、未来を考える会を初め、報道機関などにも記念塔を視察いただくことを検討するなど、丁寧に対応し、記念塔の老朽化の状況や将来世代の負担軽減について理解を深めていただきたいと考えているところでございます。
 
【星克明委員】疑問を持っている方、特に専門家の方ですとか報道関係者の方にも記念塔の視察について対応を検討していただくということで、このことは深く評価をさせていただきたいと思います。
 
北海道百年記念塔の解体やむなしとの内定により、百年記念塔周辺の住民など有志らの北海道100年記念塔を守る会から6000筆を超える署名が集まり、これはもう知事に提出させていただいているのですけれども、現在は、総数で1万筆を超えようとしている状況でございます。
 
また、今申し上げました建築設計者らで構成する北海道百年記念塔の未来を考える会は、専門的知見から、解体とする技術的な根拠などを求める
質問状を知事に提出しております。
 
ほっかいどう歴史・文化・自然「体感」交流空間構想では、北海道百年記念塔の今後の方向性として、利用者の安全性確保や長期的な維持管理費用を合わせた将来負担などを解体の根拠としております。
 
解体をすることは、安全性の確保や今後の維持管理費用の削減につながるとは思いますが、簡便な方法であります。ほっかいどう歴史・文化・自然「体感」交流空間構想のエリアで、百年記念塔の果たす役割はまだ失われていないのではないかという声も多くありますことから、道といたしましては、拙速な判断を避けられ、あらゆる可能性を検討するなどして、丁寧な対応をしていただきたいとお願いを申し上げます。
 
以上で私の質問を終わらせていただきます。

 

 


【引用出典】
www01.gikai.pref.hokkaido.jp/voices/CGI/voiweb.exe?ACT=200&KENSAKU=1&SORT=0&KTYP=2,3,0&KGTP=3,1,2&TITL=%88%CF%88%F5%89%EF%2C%92%E8%97%E1%89%EF%2C%97%D5%8E%9E%89%EF&TITL_SUBT=%97%DF%98a%82Q%94N%91%E6%82P%89%F1%97%5C%8EZ%93%C1%95%CA%88%CF%88%F5%89%EF%91%E6%82P%95%AA%89%C8%89%EF%81%7C03%8C%8E17%93%FA-02%8D%86&SFIELD1=HTGN&SKEY1=%96k%8AC%93%B9%95S%94N%8BL%94O%93%83&SSPLIT1=+%2B%2F%21%28%29-&HUID=585522&KGNO=3291&FINO=8276&HATSUGENMODE=1&HYOUJIMODE=0&STYLE=0

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