第3回会議 会議の「検討」は虚無だった

 
「交流空間構想検討会議」の最後の会。呼ばれたのは記念塔の危険性についてレポートした道科学技術大学の田沼吉伸教授のみ。田沼氏のレポートは基本的に「塔体は健全である」という未来を考える会の結論を否定するものではなかった。この講話を聞いた後、検討会議はひとつの検討も無く終了。交流空間構想検討会議による「検討」は虚無だった
 

 
事実上北海道百年記念塔の解体を決めた「ほっかいどう歴史・文化・自然「体感」交流空間構想検討会議」の最後です。この会議での「検討」によって解体は決められたことになります。前2回同様に有識者を呼んで講話を聞くかたちで進められますが、今回の有識者は建造物の構造の専門家である北海道科学技術大学工学部教授の田沼吉伸氏のみ。北海道博物館、開拓の村を除いて記念塔の安全性だけをテーマにした選定となりました。
 
最初に文化振興課主幹がこれまでの経過説明をしますが、①平成29年に実施した専門コンサルタント業者による調査、②耐震の専門家からのヒアリング結果、③記念塔の外板の素材メーカーによる調査結果──といったものがあげられます。
 
①は平成29年8月から10月にかけて行われたドーコンによる「北海道百年記念塔維持管理計画策定調査」で間違いないと思われますが、②は「専門家ヒアリング」として行われた「北海道大学名誉教授 石山 祐二(構造力学、地震工学)」のことでしょうか? ③については突然現れたもので内容は全く不明です。しかも、開示されているのは非常にコンパクトな要約文書だけで、これまでの経緯を見ると、道の都合の良い意図的な要約である疑いは拭いきれません。
 
この経過報告の後、道科学大学の田沼教授が北海道百年記念塔の現状について8月9日視察した結果を踏まえ意見を述べています。内容は情報開示によって明らかになったものです。
 
道がたびたび記念塔の危険性の論拠として挙げる田沼教授のレポートですが、前段は昭和55年の「北海道百年記念塔保守管理作成経過報告書」の内容とそれに基づいた改修工事の概要の要約。後段は平成29年のドーコン調査の紹介とそれに基づいた、現地視察を交えた感想となっています。
 
構造学の専門家らしく素人にはとっつきにくい内容ですが、当方で赤くした部分を読んでいくと、全体的には当初あった問題は改修工事によって対処されていて「今までのやり方はベストではないかもしれないが、基本的に問題は無い」──として「塔体は健全」であるという「北海道百年記念塔の未来を考える会」のレポートと大きな違いが無い内容となっています。
 
いくつか将来の危険を予見している部分もありますが、多くは「もし──でないとしたら」という仮定に基づいた推論で、正確には外板を外して調べてみないと分からないとしています。このことは逆に「横方向の部材がどのくらい腐食が進んでいるのか現状を評価しない」で50年間の維持管理費を算出したドーコン調査への暗黙の批判となっています。
 
鉄を使用しているので定期的なメンテナンスは必ず必要になる──至極当然のことを語っているリポートなのですが、これを道は「完全には防げない」と歪曲したようです。「完全に防げない」ものを全て解体の対象にしたならば、この北海道に存在するほぼ全ての構造物は解体しなければなりません。
 
こうした田沼教授の講話を受けて、どのような議論が構成員の間で行われて、誰のどのような議論によって「解体」との方向が定まったのか──。実はこの会議も有識者の講話を聞くだけ、何の検討・討論もなく終わるのです。構想書の原案も提示されていません。
 
道の説明によると3回にわたる交流空間構想検討会議で検討したしています。しかし、この議事録を読んで誰がこの会議で「検討」が行われたと思うでしょうか。情報開示によって明らかになったのは「会議で検討はしなかった」という真逆の事実でした。
 
 

 

ほっかいどう歴史・文化・自然「体感」交流空間構想検討会議
(第3回)議事録 (情報公開請求開示資料)

ほっかいどう歴史・文化・自然「体感」交流空間構想検討会議(第3回)議事録
 
○日時 平成30年8月22日(水)14:300 
○場所 かでる2・7 1階 110会議室
○有識者 北海道科学技術大学工学部教授 田沼吉伸氏
 
 

議事内容 

 

【文化振興課長】

第3回目の検討会議を開催いたします。開会にあたりまして本会議の座長である環境生活部長の渡辺からご挨拶申し上げます。
 

【環境生活部長】

皆様ご承知の通り、道におきましては年内を目標に、博物館・開拓の村等の施設のエリア全体を対象とした構想のとりまとめに向け、道民ワークショップ、専門家からの意見聴取、大学への出前講座に取り組んできた。本検討会議においてもこれまで第1回、第2回と各分野の有識者の方々に貴重なご意見をいただいている。3回目の今回は、百年記念塔の安全性の観点から専門的な立場からお話を伺いたい。
 

【文化振興課長】 

これまでの検討経過について事務局から報告させます。
 

【文化振興課主幹】 

これまでの検討経過について説明します。(資料1に基づき説明
検討会の第1回は5月31日に開催し、北海道の経験を未来に繋げるために、地域政策の歴史的文脈からというテーマで、一般社団法人地域研究工房の小磯修二先生に来ていただき、北海道の発展と地域経済の幅広い分野からお話いただいた。
 
50年前の高度成長期の当時とは時代背景が大きく変化しているので、今の時代から見た方が大事。百年記念塔に関しては、コンセプトに天をついて限りなく伸びるという表現があり、当時はそういう心意気で政策を検討していたが、有限性を認識し、夢への挑戦が失われた
 
第2回は7月13日に3名の有識者の方から意見をいただいた。一人目は北海道大学観光学高等研究センターの西山先生。
 
百年記念塔については、50年前になぜ建てたのか建立の意図を検証すべきで、コストの問題で壊すとしたら文化や歴史が積み重ねられなくなる。
 
開拓の村は、素晴らしい施設と周辺環境が良好に保存されているが、未来に継承しようとすると予算的に厳しいため、民間の活力の活用が必要。開拓の村における個々の建造物をどのように活用するかは専門家の判断が必要。
 
二人目は北海道大学公共政策大学院の石井先生。
道の公共施設は1970年代、80年代がピークで首都圏に比べ10年遅れだが、一斉に更新時期を迎えることでどう対応するかが問題。北海道は自然環境が厳しいことから建物やインフラが他の地域より負荷が大きいこともあり、今後人口減少が更に見込まれる中で現状維持は明らかに困難。百年記念塔は老朽化で立ち入り禁止だが、耐久面で十分な検討なく立てられており、これを将来世代の負担で維持、更新していくことにはならない。
 
三人目は札幌大学教授の本田先生は手紙でのご意見。
北海道博物館については、例えば、アイヌ語辞典の機能が加わるなど他の博物館にない要素があればアイヌ語学習に大きく貢献することになる。開拓の村については、抜本的な改革が必要であり、思い切った民間活力の導入を検討するべき。百年記念塔については、解体した後、跡地には何もつくらない方がいいという意見。
 
次に百年記念塔の安全面からということで、いろいろなお話伺っていますので、途中経過だが紹介します。(資料2に基づき説明
 
平成29年に実施した専門コンサルタント業者による調査の結果、ただちに倒壊する危険性はないものの、塔内に立ち入り出来るよう現状復帰した場合においても、今後、部材の腐食等による不測の落下事故を完全に防ぐことは、物理的にも不可能に近いことから、その対策として立ち入り禁止エリアの設定、落下事故防止用屋根付きの通路の設置が必要になる。
 
耐震の専門家からのヒアリング結果では、耐震性・耐風性の担保など安全が第一。錆片など飛散物もあることから、現状維持しようとして周囲に立ち入り禁止エリアをつくっても、上部の鉄板が落ちるようなことがあれば安全とはいえない。
 
記念塔の外板の素材メーカーによる調査結果で、外壁パネルの穴あき、波打ち及び錆片の落下を確認。これらは、主に雨水の塔内部への侵入と雨水が溜まりやすい構造に起因した浸食によるもの、これ以上の腐食進行を抑制するためには、水の浸入を抑制するための対策や排水の工夫等の補修対応が必要と考えられるということでございました。
 
参考として百年記念塔の昨年コンサルが撮った写真を付けております。かいつまんで申し上げると番号がついていますが、01番から07番は記念塔内部のものでありまして、中の鉄板の劣化とか、モルタルの割れとかドアの上部の腐食部分などを写しております。 08番から16番までは外部の様子です。外壁の劣化ですとか、膨らみでありますとか、錆片の堆積した状況であります。
 
以上でございます。
 

【文化振興課長】

ありがとうございました。ただいまの説明につきまして御質問等ございましたら。よろしいでしょうか。
 
 

【文化振興課長】

次に記念塔に関しまして有識者からご意見をいただきたいと思います。
北海道科学大学工学部教授の田沼先生にお越しいただいております。田沼から専門的なお立場でご説明いただきます。
 

【田沼吉伸氏】

田沼でございます。よろしくお願いします。開拓の村には行ったことがあったのですが、記念塔内部に入ったことがなかったので、8月9日に見させていただいた。
 
既存の調査報告書ということで、2ページ目の最後のところに、参考文献として、日本建築学会の北海道支部で昭和55年の11月10日に出された「北海道百年記念塔保守管理作成経過報告書」かある。当時の支部長が北大の柴田先生でその名前で出されております。先生は故人なのですが引き継いでおり、何かあったら説明するようにと言われておりまして、まず、そのあたりについて説明させていただきます。
 
1に「基本的な問題点」とあるが、昭和55年は記念塔が10年経過した時点であり、報告書の中身を大まかに言うと、構造体本体の構造計算は妥当なものだが、構造体本体を含む特に内部の腐食状況があるということです。
 
腐食の原因として考えられることは、大きくは2つあるのですが、一つは塔体の内部へ雨と雪等による水分の流入を防ぐことができない。それから、今は鳥が入らないようにネットが張ってあるが、当時は鳩が入ってきていて糞が中に落ちている状況があった。今は鳩の方は防がれている。
 
外部からの排水系統は設計されていたが、詰まったり、風で揺れるため、配水管が切れている所があり、内部が高湿な環境になることを助長していた。
 
もう一つは、塔の特徴でもあるが、外壁に使われている無塗装の耐候性高張力鋼という材料を使用したことによる影響とあるのですが、耐候性高張力綱は元々アメリカで1930年代前半にUSスチール社が開発した材料。高張力錮というのは強度が高い鋼材ということになります。
 
アメリカでは鉄道や車両の高速化には軽い方がいいということで、強度が高いというメリットで軽量化を図ってスピードを上げたということでございまして、日本で生産されたのは1960年代のはじめで、今も使っていると思うのですが、国鉄の貨物列車の貨車で使っていて、アメリカの場合もいずれも塗装したものを使っていた。
 
候性鋼材というのは貨車で使うと石がぶつかったりして塗装が剥がれたりするが、剥がれても普通の鉄と違い、表面が錆びてもそこに水があたって、その錆が落ちると下が堅くなり、錆を錆で制すというが、いろいろな合金成分が入っていて、表面が堅い腐食しにくいものに変わる
 
普通の鋼材よりも、錆びた後の膨張を防げるというメリットがありまして、塗装して使用した場合には、メンテナンスの期間を長くすることが可能なので、元々はそういった理由で使用していたと考えられる。
 
ただ、建築や橋もそうだが、そのまま使用しても安定した防食機能かおる錆ができる期間は、ある程度かかるので、最初からそうやって使えばいいということで、無塗装で使用したことがある。今も使っているものがあると思うが、橋などの接合部に水分がずっと溜まっているところがあると腐食する。
 
北海道も使っている融雪剤は塩分が入っているので付着すると、水だけならいいが日照がなく乾燥しない場所は腐食するので1980年代以降アメリカで問題になり、それ以降は塗装仕様で使用したり、部分的に使用するようになった。ある程度錆を促進し防食機能のある面を最初から作り出して使用するやり方もある。いずれにしても1980年代以降から、無塗装で使用すると気をつけなければいけないところがあるという指摘があった。
 
百年記念塔が造られたのは1970年なので、当時は気にされずに設計された為、特に裏側の腐食が進んだと考えられる。
 
参考文献の2にありますコンサルタント会社が昨年度出された報告書かあるが、これは、昭和55年の経過報告言に基づいて、今まで維持管理をされてきたものと考えている。
 
その内容ですが、構造体本体について、百年記念塔の1階部分は基礎はコンクリートで出来ているが、周りにあった池を基礎を造るために掘り返し、その土をそのまま戻している状態で、そこに上から水分がずっと落ちてくるので水が抜けない非常に高湿な状態になっていた。そういったことから一番下の部分に土間コンクリートを打設した
 
構造体本体のコンクリートの基礎部分と柱がぶつかるところがフラットになっており、水が溜まると落ちていかない形になっていたので勾配をつけて、柱と水をぶつけないように今はしている。
 
住宅であれば換気を行うが、百年記念塔は外側全て耐候性鋼材という板で壁にしてあるので空気が流れる部分が少ない。上の方は点検する所や外が見える部分もあり空気が入って抜けていくが、下が問題。改修工事の際工事業者が開けたと思われる小さい穴があり、そこから空気が入り換気されるような形にはなっているが、かなり小さい穴で、大きい穴を開けると空気も入るが水も入ってくるのでそういった仕様の改修の仕方をしていると思われる。もちろん構造体本体の再塗装や部分的に錆が進んでいる所は鉄の板をあてて溶接して補強されている所もあった
 
1階のコンクリートで重要な柱とかではないが、一部にひび割れがあったり、上の方も中から見たが部分的な腐食箇所が散見された。ただ、視察した範囲内では大きな問題がある箇所は特に見られなかった。
 
ただし、今後50年使用する場合には、地震に対する安全性を検討する耐震診断や、それに付随して、どれぐらい腐食しているのかとか、コンクリートを壊さずに今はどのくらいの強度かおるか詳細な調査が必要。
 
腐食ということでは、今は外の板に小さな穴を開けて換気をしているが、それが妥当かどうかわからない。穴を開けた前後でどう変わったか、元々ある程度内部が錆びているので、そういった換気を含めた劣化損傷箇所の改修工事再設計が必要。結局、鉄は水分がつけば錆びるので、換気が良好になっても水分が中に入る原因はどうしても防げないと思う。
 
メンテナンスで構造体本体を塗装しないといけないですが、塗装間隔にも関わってくる。ここでいう再設計は、構造的な再設計だけではなくて、換気などを含めた意味。鉄を使用しているので定期的なメンテナンスは必ず必要になる。
 
外壁の耐候性鋼材については、視察した内部の1階の部分は、最後に説明しますが、地面と接している部分は結構壊れているが、それ以外は問題があるとは思えなかった。
 
平成29年度の調査報告書に書かれている内容が、外壁と構造体は離れた位置にあり、鉄を使ってつないでいる形になるが、鉄なので腐食すると板の厚さが減り、強度が足りなくなり、板を当てて補強している。防錆措置としては錆を落として塗装している。
 
外板と縁アングルと書いているのですが、板が1枚ありますと、この建物の場合は長方形になるので4辺に補強しないといけない。大きな建物なので、板と板を上下と横つないでいく時にそれぞれの辺の裏側にアングルというL字4型のものを付けている。そこが、表側は元々外から溶接しているが、水が入る形になっていて、外板と裏の補強材のところに水が入って、錆びて溶接が切れている部分があった。
 
先ほどの写真で16番に「溶接破断による剥離」とありますが、場所は違いますが私の資料の写真1に縦方向に板と板の間で波打っている。そこに溶接している箇所がございまして、それが切れるとそのまま剥がれる。本当は外から溶接するのがいいが、足場を組まないといけないため高額になる。これを裏から溶接して落ちないようにしている。それが内側からの断続溶接による補強という意味です。これが行われているところが1階部分にあったので確認している。
 
一番気になっているのが、外板の壁の落下もございますが、写真1のところで、白の破線で書いているところの間のところが、膨らんでいるのがご覧いただける。膨らんでいるところの裏に、図1というのを付けているが、L字型のアングルが一枚の板の中に3箇所ある。図1でみると、L字型の鋼材の上から水分や鳩の糞などで水分がつくので、最初は錆片ではなく粉だと思いますが、落ちてくる。
 
この上に乗ったまま清掃しないとそのままの状態なので、水分が常に外板の内側とL字型の所に常に供給されている状況になる。図1で横方向の材料と外板の間は隙間があり、腐食すると膨らんでくるので外に押し出しているかたちになっていると見ている。
 
どういった問題があるかというと、膨らんでいる部分は横方向に断続的に見えるが、膨らみがないところは横方向部材と外板は所々溶接しているので、この状態は横方向に白い部分が波打って見える。凹んでいるところは、まだ溶接が切れていない状態。膨らんで見えるが一部は切れているので、溶接が切れると白い部分はずっとつながる。
 
そうすると風が当たると上の白い部分と二段目の白い部分が横に切れていくので、風が当たった途端に破断し、当然、中に風が吹き込むので、この塔自体の設計は最大瞬間風速60メートルで設計されているが、札幌の最大瞬間風速は50メートルくらいで2004年の台風の時だと思うのですが、この状態でまた最大瞬間風速50メートルや60メートルがきて大丈夫かというと、外板が落ちることはないが、中に押されて壁の裏の鋼材ごと壊れる可能性がある
 
改修工事をしている業者の報告を見ると、補強されていると書かれているが、補強するためには縦に部材を裏から入れていると思うので、すぐには問題ないと思うが、それが入っていなければこういったところはかなり危ない状態だと思う。
 
壁の板だけでなく図1にある横方向の部材で風圧に耐えるように設計されているので、横方向の部材と外板との接触部がどうなっているのかは壁を剥がさない限りよくわからない。見えるところは裏から見えるので耐震診断の時に板厚の減り具合は評価できるが、こういったところは替えた方がいい。
 
写真2に伸縮目地とあるんですが、高い建物は風や地震の際、構造体自体は上の方は曲がってくる。壁の面でいうと伸び縮みがおこる。上の部分と下の部分が地震の場合であれば下に行ったり上に行ったりする。構造体本体と一緒に壁が変形すると、壁の方が弱く、すぐ壊れるので、そういう造りをしている。
 
ここはある程度切れている状態になるが、外側からじゃなく中が箱形になっているので先はどの図1と同じように、角にゴミがたまる。腐食によって切れているのか、徐々に切れていったのか、途中観察はしていないのでわからないが、きれいに揃って切れているので、2004年の台風の時とかに、元々腐食が進んでいたところに構造体が動くような力がかかって切れた可能性もある。
 
このまま放置しておくと、水分が外からも若干入るので徐々に錆びて落ちていって、それが腐食片となって下に落ち、風で飛ばされる。錆片の落下というのはこういった部分が多いのではないかと思う。
 
写真3は、外壁の層の間の変形状態で、波打っているのがわかると思うが、これは中の錆によるものと考えられる。現在は裏側から溶接で補強しているので腐食板の落下に直接は影響しない。ただ、縦のところの裏に部材があり、それがどの程度錆びているかの方が問題で、これも外の板をはずさないとわからない。
 
その他の留意点というところですが、写真4でこの建物はルーバーといい外観で見ると横に線状に見える短い板を入れてある。普通、建物に使う場合は、直射日光を入れないために層状に入れる物だが、下向きになっているのは雨が入らないように考慮された設計と思う。裏側の支えている取付金物は腐食が結構進んでおり、耐候性鋼材ではないと思うが、交換が必要。業者の見積もりを見たが、その中には含まれていた。
 
写真4で真ん中に見えるところですが、外壁面の丸くなっている部分は腐食して落ちた部分。視察した範囲では、ここ以外では確認できなかったが、面積でいうとある程度の大きさで、ルーバーの上の方の部分と出ている板の部分と壁の面は距離がないので、中から腐食で押し出された可能性もあるが、外側に雪が乗って留まった影響もあるかもしれない。冬の状態はどの報告書にも書かれていないのでわからないが、こういった所も下に落下する可能性がある。
 
写真5、6は、建物の入口のところですが、腐食が進んでいる。写真6を見ると裏側は欠損している状況で、業者の改修計画の中では改修する形にはなっているが、ここが空いていると左に構造体の部材があるので、下から常に水分が供給されてしまうので、今後使用するのであれば、直さなければいけない箇所ということになる。
 
基本的には百年記念塔の改修計画は、コンサルタント会社でいくつかの案が出されていて、今指摘したことは結構入っているが、図1のところですが、裏から板を当てて現状の部材を使ってどうしようもないところだけ直すという考え方、私自身は、安全性という観点からいうと、図1でいうと横方向の部材がどのくらい腐食が進んでいるのか現状を評価しないと補強の方法は出てこないと考えている。
 
それほど減っていなければいいが、減っていたら隙間に水が落ちない仕様にした方がメンテナンス上も安い可能性もある。外板を全部剥がすのではなくて、何枚か剥がして裏の部材の腐食状況と接触した面の腐食状況を確認して計画をたてると、上の方は下の方より昭和55年の報告書でもそうですが、腐食はそれほど進んでいないので、下の方の腐食状況をある程度確認すれば全体の設計に反映できる。何枚になるかわからないが外板を外して、裏側の部材の状況を確認することが必要と思う。
 
先ほど、資料2にもございました専門コンサルタント業者からの調査で、落下事故防止用屋根付き通路の設置が必要とあるが、上から何かが落ちてくるということで理解はできるが、最近、気候変動が大きく、土砂崩れや豪雨、台風も50年という期間でみるとけっこう北海道にも来るのではないかと思う。広いスペースの公園や施設だと、竜巻などがきた際、広ければ広いほど逃げ場所がないので、一種のシェルターにも使えると思う。
 
この塔自体もルーバーが付いているので、上の方は風がそのまま入り込む部分かおる。建物みたいないろいろなものがくっついているわけではないので、しっかりした改修工事をしていれば何かが飛んでくるということはないが、逃げ場所は必要だと思うので長いスパンでみると気候変動に対応したものにも活用できると考えている。
 

【文化振興課長】 

ありがとうございました。ただいまのご説明に質問はありますか。よろしいですか。
 
事務局としましては、今日、田沼先生から気候変動などを見据えて、様々な危険性についてご指摘をいただいたと思いますが、一つご確認ですが、これまで数次にわたり大規模改修を行ってきてはおりますけれど、我々としてはできる対策をしてきたと思っておりますが、これまでの維持管理については、どのような見解でしょうか。
 

【田沼吉伸氏】 

昭和55年以降、結構改修されてきていると思うが、塔をそのまま(竣工当時のまま)残す観点からの改修で、その考え方は問題ないと思っている
 
ただ、改修されるときに、百年記念塔は内側の高湿環境が問題になるので、昭和55年の報告書にも書いてあったが、中階から上は空気が抜けるが下層部の換気設計が難しい。隙間があり普通の建物とは違う。今はいくつか外側に穴を開けて空気が入るようにしてありますので、竣工当初よりはかなりいいと思っていますが、もう少し大きいものの方がいいと思われる。
 
ただ、簡単に空気を入れようとすると、大きな穴だとどうしても水が中に入ってしまうので、そこを外気プラス水が中に落ちないように、穴を開けるにしても、そこに何かを付けて、水が中に入らないようにしないといけない。そういったものはつくらないと付けられませんから、今までのやり方はベストではないかもしれないが、基本的に問題は無いと思っている。
 

【文化振興課長】 

ありがとうございました。改めてではございますけれども、本日は百年記念塔について専門家のお立場から安全についてご説明いただきましたので、今日いただいたご意見を踏まえ、私ども、今後、道として検討していきたいと思います。本日は、田沼先生ありがとうございました。
 
 

 

 


 

「議事概要」

(道庁公開資料)
 
 

「資料①」

(道庁公開資料)
 
 

「資料②」

(道庁公開資料)
 
 

「資料③」

(道庁公開資料)
 
 

「有識者資料①」

(道庁公開資料)
 
 

「有識者資料②」

(道庁公開資料)
 

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